特集 渡辺真知子ラジオ「FEMME」インタビュー



 

1977年「迷い道」でデビュー以来、パワフルなボーカルとその明るいキャラクターで、われわれを魅了してきたシンガーソングライター 渡辺真知子。今年2015年は、ポピュラーソングコンテストで審査員長の特別賞を受賞した「オルゴールの恋唄」から数えてちょうど40年だという。6月24日には、この40年間の様々な代表曲を3枚組に凝縮させたセレクションアルバム「いのちのゆくえ~My Lovely Selections~」が発売になった。40年前のアマチュア時代のお話や、デビュー曲の制作秘話、そしてこのアルバムに対する思いなど、渡辺真知子さんにインタビューさせていただいた。

 

―以前、真知子さんにインタビューさせていただいたのが、デビュー30周年記念アルバム「鷗30」の時でした。その間、真知子さんのご活躍は、いろいろな場面で拝見させていただいておりました。

 

8年間なんて、ホントあっという間ですね。地に足をつけて音楽をやっていきたいという思いから、5年前に自分の事務所を立ち上げたので、特にこの数年はあっという間に過ぎていきました。デビューしてからは38年ですが、ポプコンに出場してからはもう40年になります。デビュー40周年や年齢的な節目を迎える前に、今一度私の音楽の軌跡をみなさまに聴いていただきたいと思いまして、今回3枚組のセレクションアルバムを発売することになりました。

 

―ポプコンに出場した40年前の事は今でも覚えているものですか?

 

日本全国のアマチュアがふるいにかけられて、本選に出場するわけですよね。本選の前日のはかなり殺気立っていたのを覚えています。みんなまだ若いですから、バチバチという感じで(笑)。特別賞を受賞した「オルゴールの恋唄」はオーケストラの演奏で歌うのかなと期待していたのですが、スタッフからのアイデアでピアノの弾き語りで披露することになったんです。

 

―それは、かなり緊張しますよね。

 

まだ私も当時高校生でしたし、4000人の観客の前で歌うというのは本当に緊張しました。本選は昼間だったので、お客さんの顔がはっきり見えるんですよね。今回この曲のマスタリングをした時に、スタジオの大きなスピーカーから私の心臓のドキドキが聞こえてくるようでした。全身から血の気が引いたような、あの感覚は40年経った今でも、昨日の出来事のように思い出せます。

 

―そしてこのたび、40年前のポプコンの受賞曲である「オルゴールの恋唄」を含む3枚組のセレクションアルバム「いのちのゆくえ~My Lovely Selection~」が発売になりましたね。全50曲入りなのに、税込み4000円というスペシャル・プライスですね!(笑)

 

先日、ステージでこのアルバムの告知をしたら、後ろのメンバーに「安い!」と言われました(笑)。自分がデビューしてからのオリジナルは私たちの子供たちのようなものですから、キュンキュンしながら選曲しました。でも収録されなかった曲たちがなくなるわけではないですからね(笑)

 

―デビュー曲の「迷い道」は、タイアップもなしで、いきなりオリコンの3位を記録した大ヒット曲になりました。改めてこの「迷い道」に関して聞かせてください。

 

当時はコマーシャルソングからヒットが生まれる時代でもありました。でも、私の場合はデビューから3曲はタイアップなしだったんです。CBS・ソニーまで何と往復16回通ってこの「迷い道」を作りました。自分で自分の首を絞めながら(笑)、必死で制作した曲です。出だしの部分からサビを作るような気持ちで曲を作るようにと、スタッフから励まされた1曲です。

 

―当時、この「迷い道」をラジオで聴いて、あまりのインパクトの強さに一瞬で心を奪われて、真知子さんの大ファンになりました。その後「かもめが翔んだ日」「ブルー」と立て続けに大ヒットを生み出していったわけですが。1980年には、「唇よ、熱く君を語れ」でまた大ヒット放つわけですよね。

 

この曲は、カネボウの春の化粧品のタイアップソングですが、最初にお話が来た時、私がCMに出演するのかと思っていたんです。でも、いざふたを開いてみたら、私がモデルという事ではなくて楽曲の依頼ということで(笑)。CMサイドの方からは、最初から「唇よ、熱く君を語れ」というフレーズを入れてほしいというのがあったので、もともと制作していた曲にフレーズをはめてみたら、うまいことはまったので、それを広げて1曲にしたんです。モデルの松原千秋さんが敬礼するCMはとてもインパクトがありましたよね。

 

―DISC1は、真知子さんの初期の代表作が収録されていますが、聴きどころはどんなとことでしょうか?

 

DISC1の収録曲は船山基紀さんのアレンジによる曲ですね。この時代は体力、好奇心、野望のようなものを含めてすごいエネルギーがありました。自分の中の引き出しからいろいろなものがあふれてくるようでした。とにかく曲を作りたくて仕方ない、曲を作る以外の時間はもったいないとさえ思っていた、創作のエネルギーがあふれた楽曲が収録されています。

 

―このアルバムには「いのちのゆくえ」というタイトルがついていますが、DISC2にはアルバムと同名の「愛(いのち)のゆくえ」という曲が収録されていますね。やはり、真知子さんにとっては思い入れの強い曲でしょうか?

 

この曲は、私のデビュー35周年記念アルバム「腕の中のスマイル」に収録された1曲ですが、自身のレーベル「Kamome Music」からの記念すべき第一弾アルバムに収録の曲という事もありますので、特に思い入れの強い1曲かもしれません。

 

―この曲は歌詞のひとつひとつに、とても重みを感じます。かなりメッセージ色の強い1曲ですよね。

 

この曲は、仲良くさせていただいている岩崎宏美さんに、歌っていただこうかなと思って作っていた曲です。彼女のお子さんに対する愛情に心を動かされる場面が多々ありまして、そういう気持ちが歌詞の中の「生きて 生きて 生き抜いて 見届けたい 愛(いのち)のゆくえ」という歌詞に表れています。実は、そんな制作途中で、東日本大震災が起こり、制作が止まってしまいました。その後、しばらくして「やはり私にできることは歌を作り、発信していくことだ」という気持ちになり、私なりに強いメッセージを込めて作った1曲です。光田健一さんの素晴らしいアレンジも聴きどころです。

 

―真知子さんは、ご自身のレーベルから、2枚のラテンジャズアルバム「Amor Jazz」をリリースされていますが、今回「Amor Jazz 2」から「MI TIERRA NATAL~私のふるさと~」がセレクションされていますね。

 

私はかつて、カルロス菅野さん率いるビッグバンド「熱帯JAZZ楽団」の初代のゲストボーカルを務めていた時期がありました。確か30代の後半だったと思います。そんな時期に出会ったのがこの曲です。あまりに素晴らしくて、空を見上げながら「私(この曲と)結婚してもいい!」とつぶやいたほど(笑)惚れ込んだ曲です。そんな運命的な出会いの曲に私が歌詞を書いて、ようやくレコーディングすることが出来た大切な1曲です。

 

―今回2曲の新録音も収録されていますが、「あなたにだから」は岩崎宏美さんのアルバム「LOVE」に提供した楽曲のセルフカヴァーですね。

 

岩崎宏美さんからいつか曲を書いてほしいと依頼を受けていたので、ある時「今、曲を作っているんだけど・・・・」と連絡したら、宏美さんから「だったら、真知子ちゃんと一緒にデュエットしたい!」と言われまして(笑)作りあげた曲です。

 

―宏美さんとのデュエットも素晴らしかったですが、真知子さんのソロも優しげで、とてもステキですね。

 

家のリビングのソファーに座って、私が隣でギターの弾き語りをしているような雰囲気が出せればいいなと思って歌った1曲です。

 

―新録音のもう1曲は、真知子さんの名バラード「たかが恋」ですね。これは泣けますね!

 

この「たかが恋」に関しては、ピアニストの石塚まみさんとの出会いが大きかったです。彼女は、私のイメージする音をきちんと表現して下さる素晴らしいピアニスト。彼女自身、歌も歌うので、ピアノと歌のバランスや絶妙なタイミングを良く解ってくださっている理想のピアニストです。そんな石塚さんと一緒にダイナミックに表現したんですが(笑)、いかがでしょうか?

 

―今回の3枚組は、DISC3がすべて、ライブ音源ということですが、今回ライブ音源に拘った理由を教えてください。

 

DISC3にはポプコンの受賞曲である「オルゴールの恋唄」も収録されているんですが、今の渡辺真知子を知っていただくには、最近のライブ音源を聴いていただくのが、一番伝わると思いまして、いろいろなライブ音源を収録しました。

 

―真知子さんの代表作である「かもめが翔んだ日」はあまりにも斬新な構成で、初めて聴いたときはぶっ飛びましたよ!(笑)

 

この「かもめが翔んだ日」はなんとワルツから入るという意外な構成になっています。この曲は今までにもいろいろなアレンジで歌ってきましたが、さらに贅沢に自由に歌ってみました。スペイン語の歌詞や、オリジナルとは違う構成に注目してほしい1曲です。堀内孝雄さんやEPOさんからも直接褒めていただけたバージョンなんですよ。

 

―真知子さんの代表作「ブルー」ですが、最近のライブでは、こんなに格調高い「ブルー」を歌われているんですね。

 

ライブ音源の「ブルー」も、石塚まみさんと2人きりのバージョンです。こんな「ブルー」を歌っちゃった!(笑)という「ブルー」なんです。私の最新の息吹を感じていただければ嬉しいです。

 

―真知子さんのライブ音源って、ライブを見たことがない人でも、まるで目の前で聞いているような気分になりますもんね。今年もそんな真知子さんのライブが開催されますね。

 

タイトルはズバリ「MACHIKO CARNIVAL」、いかにも私らしいタイトルですよね(笑)。カラフルで楽しいライブになります。名古屋、大阪、東京で開催されますが、詳しくは私のHPをご覧ください。

 

―最後にファンのみなさんにメッセージをお願いします。

 

あと2年後にはデビュー40周年を迎えますし、年齢的にも「朱に染まれば真っ赤か!」という歳になります(笑)。歳を重ねることを恐れず、楽しみながらみなさまに、道しるべをお見せしたいと思っています。もちろん、新しいオリジナル曲も聴いていただきたいし。その前に、このアルバムは、次の山を越える前の、私の総ざらいとしてみなさんに聴いていただけるアルバムだと思うので、是非「いのちのゆくえ」をよろしくお願いします。